「翔…お前何かしたのか?」

「いや?
何もしてないのに困っちゃうよ本当。」

はぁーとわざとらしく翔は溜息をつく。

「なあ清水、何でこいつが性格悪いと思うんだ?」

「んー?」

振り返った清水はほんのり頬が赤い。
本当はそこまでお酒に強くはなかったようだ。

雅人の問い掛けにグラスに入った焼酎をグイッと煽ると翔を見つめて口を開く。

「…一度も目が笑わないんだよね。
何も感情なんかないんじゃないかって位。」

「…今までのやたら間延びした口調はわざと?」

清水の答えに動揺する事なく返す翔。
その返事にケラケラ笑いまた焼酎を注ぐ。

「あー口調ー?
この口調真剣さがなくていいんだよねー。」

「…笑ってないのは清水さんも一緒だよ。」

「うん笑ってないよー。
自覚してるから大丈夫~。
あーあとヤッパリ。」

これでおしまいーと最後の一杯を飲み干す。

「私、あんたすっげえ苦手だわ。」

そう残しおやすみーと部屋を出て行こうとする清水に翔がクスクスと笑う。

「僕は結構好きだけど?」

「…いーや違うね。」

ドアに手をかけ振り返る事なく呟く。
まるで独り言のように。

「…人間なんて全員あんたは嫌いだろ。」

そう残し清水は部屋を後にした。