「まぁウォッカとかジンとかテキーラっていう手もあったけどあれを飲み続けて酔わないっていうのは流石にねー。」

「お前…卑怯にも程があるだろ…。」

「卑怯~?
潤も同じ事しようと企んでたから私が注ぐって言ったら焦ったんだし卑怯ではないでしょー。」

ビールを飲み干した清水は今度は本当に焼酎に手を伸ばす。

「それでー?」

「?」

「残るはおたくら2人でしょー?
何で勝負するのよー?」

清水の問い掛けに笑いすぎて涙が出ている翔が答えた。

「あー笑った。
俺は別に何もしないよ。
清水さん面白いし気に入ったし。」

「…俺は翔が認めた時点でそもそも追い出すつもりねぇよ。」

それを聞き清水の眉間に皺が寄る。

「えー?
まさかのお二人がホモカップルー?」

「違ぇーよ。
こいつは人を見る目に関しては長けてんだ。
役員にしろ姫にしろ使用人にしろ俺はこいつに任せる。」

「…ほー。
てか姫って何ー?」

「あー姫って言うのはね?」

翔の説明によると。
生徒会のメンバーの中で一年に一回春休み直前に行われる選挙で決まるのは会長のみ。
家柄、容姿、性格、成績の総合得点で選ばれるらしい。
そしてその他役員は会長による指名制。
姫というのは副会長になる女子生徒の事で歴代の生徒会長の多くがそのまま姫と結婚している事から姫と呼ばれるようになった。

「へー。
じゃあそもそも人を見る目があるなら翔さんが会長やれば良かったんじゃないのー?
好みはあれど容姿は完璧なんだしー。」

「言ったでしょ?
総合得点だって。
容姿と成績は勝ったんだけどね。」

「あー性格面ですかー。
確かに点数低そうですもんねー。」

それを聞いて吹き出す雅人。
翔の背中には少々黒いオーラが見え隠れしている。