「……―あ、あの、遅くなってごめんね?これ、バレンタインのチョコなんだけど……」
オドオドしながら、さくらが俺にそのピンクの紙袋を渡してきた。
「え、俺に?ドッキリとかじゃないよな?」
もらえてうれしいんだけど、ちょっと疑う。
だって今まで、くれる素振りなんて全く見せてこなかったし……。
「翼くん、どういうチョコがいいなかぁーって思って。それで、昨日カフェに誘ったんだけど……。翼くん、コーヒー飲んでたからあんまり甘いの好きじゃないってわかってね」
ああ、だから昨日さくらはあのカフェに行こうって言ったんだ……。
だんだんと、胸のモヤモヤが取れていく。


