野獣に魅せられて・・・

「潤ちゃんをあんまり苛めないでください」

・・・

オレの背後から、

そんな声が聞こえてきた。

・・・

「…君は?」

矢野先生が問いかける。

・・・

「潤ちゃんの彼女です」

「…未来」

・・・

振り返ったオレの、

目に飛び込んできたのは、

いつものように可愛い笑顔の未来だった。

・・・

「苛めないでとはどういう意味?」

矢野先生が未来に聞く。

・・・

「たまたま手帳に入ってた写真が、

落ちただけ、そうだよね、潤ちゃん?」


「・・・」


「いつの間に忘れてしまってた写真を

落としただけで、何か勘違いされては、

潤ちゃんが可哀相。私と言う彼女がいるのに」


「そうなのか、伊藤?」

・・・

頷くしかなかった。