野獣に魅せられて・・・

ドアの外に、顔を出した私。

・・・その私も、

その一点を見つめ、

動けなくなってしまった。

・・・

「…おはよう、伊藤先生」

何とかその言葉を言った正樹。

・・・

「…おはようございます」

潤也も、

私の家から出てきた正樹が、

信じられないのか、

困惑した表情を浮かべていた。

・・・

ハッと我に返った私は、

「…正樹。

早く帰らないと、仕事が」


「・・・そうだな。

じゃあ、後で」


「・・・はい」

・・・

潤也に一瞬目を向けた正樹だったが、

軽く頭を下げると、

駐車場に急いで行った。