桃花side
体育祭が始まった。
開会式の長い話を聞き終えた私たちは一斉に応援席に戻る。
最初の競技は二年生の全員全脚だった。
「次って生徒会種目のラブバーガーだろ?」
凌太に聞かれ、私は頷く。ラブバーガーのルールは簡単で、男女ペアがボールをラケットで挟んでコーンを一周するだけ。ゴールするまでの時間が最短だったチームの勝ちになる。
「じゃあ、行ってくるね」
私は凌太に手を振った。
このラブバーガーこそ、私が大和とペアを組まなくちゃいけない競技なんだ。
皆より少し遅れて整列すると、ペアの大和が私を思い切り睨んだ。
「遅いぞバカ」
片想いだってことはわかってるけど。
こんな冷たくしなくたっていいじゃない。
私は泣きそうになった。



