大和side
掃除の時間中、凌太はやたら機嫌が良かった。
なんでこんな機嫌いいんだよ、このアイドル気取りは。…ってアイドルか。
「…ん?どうしたんすか、大和っち。怖い顔しちゃって」
俺は凌太に聞かれてそっぽを向いた。
「別に!怖い顔なんかしてねーっつの!」
俺が言うと、凌太はクスクス笑って。
「丸見えっすよ。どうせ俺が機嫌いい理由知りたいんすよね?」
図星だし。
俺は凌太に背中を向けて廊下の窓を拭いた。床を掃いている凌太は「素直じゃないっすねぇ」と呟く。
「あ?」
「桃花っちと同じっすよ…」
凌太はそう言ってため息をつく。
「なんだよオマエ。機嫌いいのか悲しんでるのかどっちだよ」



