言っても、凌太の腕はほどかれない。むしろ、どんどん首に食い込んできてる。
「ちょっ…ギブギブ!首締まる!」
私が言うと、凌太の腕が少し緩んだ。
「ごめん。殺そうとかいうつもりじゃないんすよ。ただ、桃花っちが大和っちのこと好きじゃないって言ったから、ホッとして…」
言い訳めいた言葉を呟いて、凌太は俯いた。
「え?なんで?なんで、ホッとしたの?」
私が聞くと、凌太は何も言わなくなった。無視とかあるわけ?
それとも、裁判とかにある黙秘権?
「一ついいっすか」
「うん?被告人凌太、発言どうぞ」
裁判官気分で言うと、凌太が「ぷっ」と吹きだした。
「そ、そりゃどうも…つか、なんで俺被告人なんすか」
「まーまー。気にしない気にしない」



