今度こそ、凌太は出て行った。
一人残された私はお弁当を急いで食べて屋上から校舎に入った。
「あ、桃花!」
階段で、大和に呼ばれた私は思わず足を止めて、大和を見た。
途端、あの夜のことが脳裏に浮かぶ。
私は慌てて走り出した。
「え!?ちょ――なんで逃げるんだよ!」
大和が後ろから叫ぶ。
「逃げたくもなる~!」
私はとにかく走った。階段を駆け下りたところで腕を掴まれる。
「ひゃあぁぁっ!」
腕を引っ張られて、バランスを崩した。
こ、腰が…!今、腰がボキッて言ったんだけど!
「俺から逃げられると思うなよ?」
耳元で大和に囁かれる。ゾワッと鳥肌が立った。
「逃げ出した罰、受けてもらおうか」



