「とりあえず俺は帰るっす」
そう言って凌太が立ち上がる。
「うん、バイバイ」
「え?引き留めてくれないんすか?」
私が手を振ると、凌太は困ったような顔で言いだした。
「え?だって帰るんでしょ?」
「はぁー…。桃花っちは男心わかってないっすね」
…ん?
何のことだか理解できかねないんだけど…。
「なんで?」
「だってさ、うん…。言いづらいっすけど」
そう言って凌太は頭を掻く。
「言いづらいの?あ、でも今川先輩も言ってたなぁ…。男子は女子に弱いとこ見せないって。凌太が言ってるのも、そういう類なの?」
私が聞くと凌太は暫く唸ってから
「そういうことにしとくっす」
と答えた。
な、何その微妙なリアクションは!



