翌日俺は、辞表を片手に事務所に急いだ。

統括も事務員も揃っていて、こんな朝早くに訪問した俺を見てクビを傾げていたので、そのままツカツカと統括のデスクの前まで行って満面の笑みで辞表を出した。

『おはようございます!早朝から申し訳ありません。
他従業員が来る前に出しておきたかったので♪
色々考えたのですが、一身上の都合により今月末をもって退社させていただきます♪
長い間、ご指導・ご鞭撻賜りまして誠にありがとうございました♪』

きっとこの時の俺はハキハキと、そして渾身の笑顔だったのだろう。
一同状況を理解できかねると言った空気が漂っていたので質問攻めに合う前に、

『では、失礼します』

と、活き揚々と事務所を後にした。


店に戻った俺はマネージャーを店長室に呼び、事の顛末と末付けでの退社を伝えた。

俺を裏から支えてくれたマネージャーに話を通す事は最低限の礼儀だと思ったし、
俺が退社後の人事は組織の慣例を考えれば彼が当面は店長代行業務を引き継ぐ事になるだろうからだ。