再び事務所に戻り、今度は俺の城となる店舗を見に行く事に。

人形小路を上がった先にある雑居ビルの2F。

まだ何も手をつけておられず、スケルトンの状態だった。
9畳程度のスペースに備え付けのカウンターテーブル、一人で回すには充分な広さだ。

明日からは開店準備にとりかかるとして、今日はオーナーと食事に行く事になっているらしい。

この場合のオーナーとはただの金主で、経営には一切ノータッチ。
ようは月々金を入れればいいだけで、気持ちは楽だ。

とりあえず部屋に戻り、荷解きをしながら頭の中では、店舗構造に伴うラフのコンセプトを廻らせていた。

夕方、上条さんから飯に行くのでスーツで事務所に降りてきてくれと入電。

オーナーとの初顔合わせだ、ビシっと福岡ヘルスマンのハイセンスさをアピールしなければ。

よし

完璧な着こなしで颯爽と事務所に降り立つ。

俺を見るなり上条さんが開口一発

『お前のセンス、忘れたわ』

ブラックを基調した、ワンポイントで紫の2ラインが入ったシックな3ピースのマオカラー
エルメスの革靴{メタルシルバー}
VUITTONのバック{モノグラム}
Ωの腕時計
18金ブレスレット

完璧なのに・・・