White Valentine's day


雪で濡れた靴裏はいつもより大きな音をたてる

ーキュッキュッ

音が響いて

さっきまであの雪を踏んでいたことを自覚する

惜しいなー、もうちょっとだったのに

ぶつぶつと呟きながら

手を繋ぐ太一が由依を見つめる

「なあ、ガトーショコラ。あるんだよな?」

「え、あっと。一応」

不意打ち、

さっきまであんな強引だったのに

そんな風に歩幅合わせないでよ