遠藤が


「何処まで送ればいい？あんまり家の近くで、家の人に見られたら嫌だろうから、少し離れたところまで送るよ」


と言ってきた。



なんで、家の人に見られたら嫌だと私が、思っていると決めつけるのだろうと、疑問を感じた。



嫌に何と言って出て来ているかなんて、一言も話していないのに、遠藤が知り合いに見られたら嫌だからそんな事を言ったのじゃないかと思った。



私は、遠藤に言っている家の場所の近くで、適当に降ろしてと言った。
　



別れるとき、遠藤は車から降り


「忘れ物ない？じゃぁ、またね」


と言い、私を見送った。



私は


「ありがとうございました」


と言い、遠藤の車が立ち去らない方向に歩いていった。




少し、歩いていくと、後ろのほうで、遠藤の車が走り去る音が聞こえたので、本当の家のほうに歩きなおし帰った。



本当に、この一日は、つまらなくて、苦痛で無駄な一日だった気がする。
　



今回のドライブで、私が、遠藤の顔をちゃんと見たのは、二、三回程度だった。



嫌いなタイプの顔だったので、顔を見て、嫌という気持ちを増やすよりも、顔を見ないで、少しでも、楽しもうと思ったのだった。



遠藤がこっちを見て、話して、微笑んでいるのを感じたが、それに対する、返事の顔を私はしなかった。