花に、嵐

幼なじみと言っても私たちは、一緒に遊んだ記憶もなければ、話すことすら稀なことだったのに。

今日も、もう何度目かわからない失恋をして、やっぱり傍にいるのは、旺司郎。


なにか慰めの言葉をくれるとか、そんな気のきいたことを言うわけじゃない。

寧ろ、早く諦めろ、的なことはよく言われる。

でも、そればっかりじゃなくて、ただ、なんとなく、他愛ない話をしながら、隣に座ってることもある。

本当に傍にいてほしい人はいてくれないのに。

心のどこかに、こんな風に傍にいてくれる旺司郎の存在に癒されてる自分がいることも事実。

どんなに泣いても、次の日にはやっぱり朔ちゃんのこと諦められない!なんて、ちゃっかり立ち直ってる。

でも、私と旺司郎の関係は、それ以上でもそれ以下でもなくて、ただそれだけ。

そのときだけ─なんだよね。