花に、嵐

唸ってるって。

声に出てたんだ…。恥ずかしいっ!

いや、まあ、旺司郎が相手なら気にする必要もないか!

「…今度は百面相かよ。変なヤツ」

変なヤツって、失礼な!

そうやって言い返そうと思ったけど、まあ、ちょっと自覚ありだったから睨んでおくだけに留めておいた。

実際、唸ってたし、頭の中で考えてたことが顔に出てたみたいだから。


「………まあ、言いたくなったらいつでも聞いてやる。花菜の話なら」

そんな私に、旺司郎からの思わぬ優しい言葉。

──こいつはなんでこう、いまこの瞬間、欲しいと思う言葉を時々さらりと言っちゃうんだろうかと思う。


簡単に傷つけるくせに、こうやって甘やかされて、優しくされて。

いま目の前にいる旺司郎が、朔ちゃんならどれだけ嬉しいか、思わずにはいられなくなる。