花に、嵐

シュワッとした炭酸が喉を潤していく。

けっこう喉が渇いていたみたいだ。

「……なあ」

「ん?」

「兄貴のこと、いい加減諦めようとか思わないわけ?」

「……諦め……ないとダメなのかなあ、やっぱり」

泣きたくなって、苦笑する。

自分の諦めの悪さにはさすがに辟易しているんだけど、心の隅っこではもしかしたら、いつかは───そんな想いをどうしても捨てきれないでいる。

「………兄貴はズルいよな」

「──、」



旺司郎の言いたいこと、わかりたくない。

そんな私を旺司郎は横目で見ながら缶コーヒーをグイッと飲み干すと、夜空を仰いだまま、口を開いた。