花に、嵐

二人が並んでる姿なんて見たくないし。

そう思えば、こうして連れ出してくれた旺司郎に、少しだけ、感謝しないといけないのかもしれないな。


旺司郎はそれからまた走り出していって、戻ってきたときにはコンビニの袋を手にしていた。

「サイダーでいいか?」

袋の中からペットボトルを取り出して差し出してきた。



「……ごめん。ありがと、旺司郎」



旺司郎は頷いて、近くにある花壇に腰を下ろした。


「……それで、美桜ちゃんいつ頃来るって?」

「あと、10分くらい、かな」

腕時計を確認して私も旺司郎の隣に腰を下ろした。

ここにいれば、駅から出てくる美桜ちゃんが見えるはず。

だから旺司郎も敢えてここに座ったんだろう。

無意識なんだろうけど、こういう行動をさりげなく先回りしてできてしまうところが、旺司郎の良さとも言えるのかもしれない。