花に、嵐

いつまでたっても私を一人の女の子として見てくれない朔ちゃん。

いつまでたっても朔ちゃんにとって私は、師匠の娘で、幼なじみで、妹に近い存在。

それ以上でもそれ以下でもない。

だから────

もうどうにでもなれ!


「………朔ちゃんは、私がどんな人かも知らない相手と結婚しても、別に構わないんだね!!」

半ば自嘲気味にぶちまけた。

「───」

「結婚?」

それまで話を聞いていないような態度だった旺司郎がそう呟いて、楊枝に刺さっていた桜餅をポロリと落とす。

肝心の朔ちゃんはといえば…………

「…朔ちゃん?」

なぜか反応がない。

「お前、結婚すんの?誰かわかんねえ相手と」

「……い、いや、さすがに相手が誰かくらいは知ってるけど」

ついこの間、相手の履歴や経歴が書かれた封書と写真が、部屋の机の上に“必ず目を通しなさい!”のメモと一緒に置いてあった。