花に、嵐

「あら、してみるだけしてみてもいいんじゃない？もしかしたら相手のこと気に入るかもしれないじゃない」

からかい口調で言われて

「そんなことは絶対ありえないの！！！！」

そう反論しながら、思わず勢い余って椅子から立ち上がってしまって、ハッと気づけば葉ちゃんがぽかんと私を見ていた。

「……花菜？」

「あ、あ、ごめん！大声出して…」

またしても周囲の注目を集めてしまってた。

恥ずかしさで項垂れながら椅子に座り直したところで

「―――あ」

テーブルの上に置いていた携帯の着信を知らせる音が聴こえてきた。

着信相手を見て、慌てて通話ボタンを押す。


「朔ちゃん！！」

着信相手の名前を言った途端、「……さくちゃん？」とポツリとつぶやきなから訝しげな表情になった葉ちゃんを目の端に捉えながらも、私の意識はもう電話の相手に飛んでいた。