周囲も、注目したのは一瞬で、カフェテラス内はまたすぐにいつもの喧騒に戻る。

「ふごごっ!×★!!&¥!!」

「あ!ご、ごめん!葉ちゃん!」

ホッと一息した直後、手のひらのくすぐったさに、まだ葉ちゃんの口元をふさいでいたのを思い出して、慌ててはずすと。

「っっちょっ!!~~く、苦しいじゃないの!花菜(ハナ)!ゲホゲホッ!―――もー、あんたがいきなり変なこと言うから、大きな声も出るわよ!」

「うぅぅ、ごめん、葉ちゃん……。でも、変なことじゃないんだよね」

はあああ、と大きな溜め息を吐いた私を怪訝そうに見やった葉ちゃんは

「え、まさか、お見合いってマジでするの?」

今度はこれでもかってくらいに目を見開いて、だけど声は潜めて訊いてきた。