花に、嵐

「で?お見合いの日取りは決まったの?」

「……かろうじてまだ。ほら、ゼミのレポートの提出期限が迫ってたじゃない?バタバタしてたからママとまともに話もできなかったし。
―――でも、多分近いうちには…」

「近いうちって?」

「……立川のおばさまが教室じゃない日も来てたみたいでね。多分、てか絶対、お見合いの話をしにママのところに来たに決まってるの!」

レポートに追われてるときは、お見合いのことを頭の片隅に追いやることができてたけど、ついこの間、大学に行こうとして、玄関でおばさまと鉢合わせして

忘れてたお見合いのことを思い出してしまったのだ。


「ふーん。まあ、アンタん家って、忘れてたけど資産家で、アンタはお嬢様だもんね。そんな話が出ても全然おかしかないけど」

「資産家って…別に、普通の家だよ」

「あー、はいはい、そうね。それで、結局、お見合いはするつもりなの?」

「……しないよ」

するつもりはない、最初から。