リビングに戻ろう と すると、ドアの向こうからサナの話し声が聴こえた。




"まさか"と思って、慌ててドアを開けると

案の定、サナは俺の電話で誰かと話していた。






「………サナ。


お前…人の電話で、何やってんだよ」






思わず、声に出た言葉を聞いて、サナは振り返った。






「す、すみません~!


…でも景さん、

あんま怒んない方が いいですよぉ~…電話の相手、リアちゃん なんでw


そんな声 出したら、

リアちゃんが、怖がっちゃいますよ?


…景さんの その声、

結構 迫力、あるんだから。




…あ、じゃあリアちゃん、

景が戻って来たので、電話 代わりますね。


……それではっ」




そして一気に そう捲し立てると、

電話を俺に押し付けて、逃げるようにリビングを出て行ってしまった。






「………」




いざ電話を渡されると、

今のマネージャーの不審な行動を責める気持ちよりも、

電話の向こうの君の反応を気にする気持ちの方が、大きい。




…確かに、サナの言う通り

あの声のトーンは怒ってるみたいに聞こえるから

君に聞かれたら、怖がられる だろうな…。




嫌われるのが怖くて、なかなか口を開けない。






君は…

昔から理不尽に苛められたり怒られたり してたから、

そういうの、異常に怖がるんだ…。