「ヒカリくーん、……あ、姫ちゃん」




「あ、あたしは そろそろ帰ろう と してた所で…」




マナちゃんを見て、反射的に そう言っていた。






「″帰る″って、そんなんで帰れるの?


立ち上がれない癖に 笑」




景さんは苦笑すると、今度はマナちゃんに向かって言った。






「俺も この子 送ってくから、帰る。


みんなにも、そう言っといて」




「…ちょ、ちょっと待ってよヒカリくん!!


姫ちゃん、今日はホテルに泊まるんだって。


…マナ、姫ちゃんが泊まるホテルの場所 知ってるから…

だから…、マナが送ってく」




マナちゃんの目は、真剣だった。






―…これは……、

絶対あたし1人で帰った方が いいよね…―




「えーと、

マナちゃん ありがとう。


それから…景さんも、ありがとうございます。


でも あたし1人で帰れるから……

皆さんに よろしくっ」






無理矢理 立ち上がって…、

全ての力を振り絞って、走った。


あんなに具合 悪かったのに、割と早く走れてるような気がして…、


人間、やれば出来るものなんだな…なんて、

頭の隅で、思った。