放課後、張り切って彼が現れるのを待つけど、いつもの時間になってもなかなか来ない。


鎌倉駅前を見渡せるベンチに座って、何度も時計を確認した。


「片岡美晴ちゃん?」


何度めかのため息をついたところに、名前を呼ばれて顔を上げた。


彼と同じ制服の男の子が立っていた。

「駿になついちゃった子だよね?」


やわらかく笑う、なかなかのイケメンだった。
長身の石川くんより少し背が低いけど、サラサラの髪と、賢そうな眼鏡がなんか爽やかで。


「石川くんのお友達ですか?」


うん、と頷くその人に、男子に免疫のないはずのあたしは“彼の友達”というお守りを得て少しリラックスした。