カフェを出たあたしは、小町通りを走る。


セーラーの襟がひらりと揺れて、胸元で結んだ黒いリボンなんか風になびいちゃって。


鬼ごっこする小学生みたいに、走る走る。

長距離が得意でよかった。自分の足に感謝して。

坂をかけ上がる。
じゃらじゃらっと、百円玉を二枚握って。

もう、あのお姿が見えてきた。


一気に階段をかけ上がり、乱れた息をハァハァしながら整える。


あたしが何をやらかしたって。
あたしが悲しくても、恥ずかしくても。
どんなに後悔が多い時だって。


あたしは顔を上げて、目の前の大仏さんを見た。


―――大仏さんはここにいる。