小町通りはあたしが小学生の頃からの遊び場みたいなもの。


ナニからナニまで知ってますよ、と言ってみたいけど、実はそうでもない。


和モダンなカフェは女子高生には敷居が高い気がして、落ち着きある雰囲気が逆に落ち着かない。


でも今日は、オシャレな雰囲気に飲み込まれてしまいたかった。


「隊長、撃沈であります!」

ソイラテのふわっふわな泡を髭にして、あたしは愛佳と馬場園ちゃんに敬礼のポーズ。


「ん、あたしだったら恥ずかしくて死んでる」

愛佳があんみつの豆を器用によけながら言う。

馬場園ちゃんは、カフェモカにさらにハチミツを入れて、グルグル混ぜている。
甘そうなソレを一口飲んで、あたしを見る。


「あの男の子の言うこと、いちいちごもっともだったわ」


これ、作戦会議か?

反省会? もしくは、相撲でいうとこのカワイガリ?