あの彼が、雑誌を手に取って、あたしを見下ろしていた。


あ…、あたしが立ち読みしてたのと同じ『週刊仏像巡り』だ…。


なんだか嬉しくなるあたしと裏腹に、彼の顔は訝しげだった。


「あ…、今朝の変なオンナ」


ちょっと! 心の声が口から出てますよ!

まぁ、週刊仏像巡りを見てニヤけてたら、変なオンナなのは否定できませんけど。


「あのっ、仏像好きなんですか?」

あたしは緊張で声が上ずってしまった。

「嫌いだったら、こんなの買わないし」