「では本日の授業はここまで。次回までに章末問題をやっておくように」



平和な時というものには終わりがある。



どうしよう、7限目の授業が終わってしまった!!

出来ることなら俺は数字の世界に永遠に浸っていたい。

いや、いっそ埋もれてしまいたい。



俺は別に家が嫌いなわけじゃない。

帰る過程が嫌なんだ。


校門ではいつも待ち伏せされて野次が飛んでくるし、電車の中では周りの人にちらちら見られている気がして居心地が悪い。

何かと思って見たらいつも目をそらされて、その後はひそひそ話を始める女子高生たちには脅威を感じる。


闇討ちの相談でもしているのだろうか?



気が重い。

だからと言って学校に住みたいなどとは言わないけれど。


出来る限りのろのろと帰り支度をし、重い足取りで教室を後にした。



靴箱を開けるには勇気がいる。

何故なら、何故なら……。




――ザーーッ。


「やっぱり今日もいっぱい入ってた……」


脅迫状や果たし状が入れられているから。


靴箱を開けた途端にそれらが雪崩を起こし、押し寄せて来る。


これも帰るのが億劫になる原因の1つだ。



足元に散らばった手紙をかき集めていく。