麗子は由美の声ではっと我に返った。
「な、何?」
「はぁ。もう。お客さん、貸し出しだよ」
由美はため息をついて、呆れた様に麗子言った。
麗子はふっとカウンターの方を見ると、一人の女性が立っていた。
「あ…す、すみません」
麗子は急いでカードを貰い、本のバーコードを読み取った。
「どうぞ…」
本とカードを女性に返すと、頭を少し下げながら本を渡した。
「ふふっ、ありがとう。」
その女性は本とカードを受け取り、微笑みを見せながら歩いて行った。
「綺麗な人」
由美はそんな事を言いながら、麗子の隣の椅子に座った。
麗子はズリずりとカウンターに倒れこんだ。
「はぁ」
すると麗子はため息を一つ吐いた。
「…」
それを見た由美は麗子を何だいう目で見た。
「ねぇ麗子。あんたずっとだよ、今日。あ…昨日、電話してからか。」
「うーん…」
「うーんってね。…昨日何かあ…」
由美が言いかけてる所に本がどさっと置かれる音がした。
「…」
麗子は何かと思い、本の山のてっぺんを見てみると、そこには春馬がいた。
「あの、本の返却したいんですけど」
「…うわ。すごい量…」
由美はぼそっと言ってしまい、二人の事を何も知らずに慌てて口を閉じた。
「あ、本のご返却ですね。でしたら…」
「インフォメーションまでお願いします。」
「……は?」
麗子はカウンターの下で何かをしながら春馬に向かって言った。
「この様な大量の本のご返却はインフォメーション、又は分割して返却して頂く事になっております。」
「…」
「あ、ちょっと麗子!」
こそこそと小さな声で由美は麗子に耳打ちした。
「ではどうぞインフォメーションまで」
麗子はわざとらしく一礼した。
「すみませんけど、俺あなたじゃなくてこちらの女性に言ってるんですけど」
春馬は麗子に嫌味を言う様な言い方で言った。
「ああそう。すみませんね」
冷めた口調で麗子は春馬に言い返した。
その会話を隣で見ていた由美は、オドオドしながらも不思議そうな顔をして見ていた。
「あ…こ、こちらで預かりますよ」
「すみません。でもこの人がどうしてもインフォメーションに行けって言うので、向こうで返します」
春馬はカウンターに置いてあった山積みの本を持った。
「…何でしょう。私はやっぱりこっちで良いですとか甘い事言いませんけど。」
「まあそりゃそうだろうな。お前には女の子らしさ…というか、優しさと感情がない人間だからな」
「はいはい、そうですね。私には女心というものがないですよ」
トントンと紙を揃えながら春馬に答えた。
そしてその紙をホチキスでぱちっと止めると、それをひょいっと春馬の持った本の山の上に投げた。
「…何これ」
「向こうの方に用事があったんだけど、資料届けるの面倒くてさ。どうせ行くなら丁度いいなって」
「…なにが丁度いいの。こっちは客だよ。」
「客でも何でも遠い人が行くより近い人が行く方が一石二鳥でしょ。」
「あのね、そういうのが優しさがないって言ってるの。」
「だから言ったじゃない。私は女心も優しさもないって。」
言えば言い返してくる麗子に春馬はいらっとした。
「はいはい、わかったよ。行けばいいんだろ、行けば。」
「そう。じゃあよろしくね」
軽く麗子が言うと春馬はチッと舌打ちして歩き始めた。
「あ。」
春馬は少し歩いた所で止まり、麗子の方を向いた。
「昨日の事、忘れてないよね。どうせあんたの事だからまだその人にも言ってないんでしょ。まさか初めてなんて分けないよね」
大声でわざとらしく麗子に言った。
「なっ…」
「え、えっ。何、麗子何したの。初めてって…え!麗子何したの」
「わ、忘れました。何にもなかったです。記憶にないです」
「へー。そうなんだ。じゃあ思い出してもらうためにもう一度やってやろうか」
「しないで!やめて!悪魔!この女たらし!」
麗子は大声で春馬に叫んだ。
春馬はその言葉に我慢できず大笑いした。
「すごいいい様…。高校生かよ。」
「こ…。さっさと本返してでて行きなさいよ」
そういうと、自分の水筒のふたをがっと開けて飲んだ。
春馬はくすっと笑い、本を返しに向かった。
「な、何?」
「はぁ。もう。お客さん、貸し出しだよ」
由美はため息をついて、呆れた様に麗子言った。
麗子はふっとカウンターの方を見ると、一人の女性が立っていた。
「あ…す、すみません」
麗子は急いでカードを貰い、本のバーコードを読み取った。
「どうぞ…」
本とカードを女性に返すと、頭を少し下げながら本を渡した。
「ふふっ、ありがとう。」
その女性は本とカードを受け取り、微笑みを見せながら歩いて行った。
「綺麗な人」
由美はそんな事を言いながら、麗子の隣の椅子に座った。
麗子はズリずりとカウンターに倒れこんだ。
「はぁ」
すると麗子はため息を一つ吐いた。
「…」
それを見た由美は麗子を何だいう目で見た。
「ねぇ麗子。あんたずっとだよ、今日。あ…昨日、電話してからか。」
「うーん…」
「うーんってね。…昨日何かあ…」
由美が言いかけてる所に本がどさっと置かれる音がした。
「…」
麗子は何かと思い、本の山のてっぺんを見てみると、そこには春馬がいた。
「あの、本の返却したいんですけど」
「…うわ。すごい量…」
由美はぼそっと言ってしまい、二人の事を何も知らずに慌てて口を閉じた。
「あ、本のご返却ですね。でしたら…」
「インフォメーションまでお願いします。」
「……は?」
麗子はカウンターの下で何かをしながら春馬に向かって言った。
「この様な大量の本のご返却はインフォメーション、又は分割して返却して頂く事になっております。」
「…」
「あ、ちょっと麗子!」
こそこそと小さな声で由美は麗子に耳打ちした。
「ではどうぞインフォメーションまで」
麗子はわざとらしく一礼した。
「すみませんけど、俺あなたじゃなくてこちらの女性に言ってるんですけど」
春馬は麗子に嫌味を言う様な言い方で言った。
「ああそう。すみませんね」
冷めた口調で麗子は春馬に言い返した。
その会話を隣で見ていた由美は、オドオドしながらも不思議そうな顔をして見ていた。
「あ…こ、こちらで預かりますよ」
「すみません。でもこの人がどうしてもインフォメーションに行けって言うので、向こうで返します」
春馬はカウンターに置いてあった山積みの本を持った。
「…何でしょう。私はやっぱりこっちで良いですとか甘い事言いませんけど。」
「まあそりゃそうだろうな。お前には女の子らしさ…というか、優しさと感情がない人間だからな」
「はいはい、そうですね。私には女心というものがないですよ」
トントンと紙を揃えながら春馬に答えた。
そしてその紙をホチキスでぱちっと止めると、それをひょいっと春馬の持った本の山の上に投げた。
「…何これ」
「向こうの方に用事があったんだけど、資料届けるの面倒くてさ。どうせ行くなら丁度いいなって」
「…なにが丁度いいの。こっちは客だよ。」
「客でも何でも遠い人が行くより近い人が行く方が一石二鳥でしょ。」
「あのね、そういうのが優しさがないって言ってるの。」
「だから言ったじゃない。私は女心も優しさもないって。」
言えば言い返してくる麗子に春馬はいらっとした。
「はいはい、わかったよ。行けばいいんだろ、行けば。」
「そう。じゃあよろしくね」
軽く麗子が言うと春馬はチッと舌打ちして歩き始めた。
「あ。」
春馬は少し歩いた所で止まり、麗子の方を向いた。
「昨日の事、忘れてないよね。どうせあんたの事だからまだその人にも言ってないんでしょ。まさか初めてなんて分けないよね」
大声でわざとらしく麗子に言った。
「なっ…」
「え、えっ。何、麗子何したの。初めてって…え!麗子何したの」
「わ、忘れました。何にもなかったです。記憶にないです」
「へー。そうなんだ。じゃあ思い出してもらうためにもう一度やってやろうか」
「しないで!やめて!悪魔!この女たらし!」
麗子は大声で春馬に叫んだ。
春馬はその言葉に我慢できず大笑いした。
「すごいいい様…。高校生かよ。」
「こ…。さっさと本返してでて行きなさいよ」
そういうと、自分の水筒のふたをがっと開けて飲んだ。
春馬はくすっと笑い、本を返しに向かった。
