内緒の気持ち

「皆、聞いてくれ。」

そして、先生は話を切り替え
話し始めた。

「今日からお前らの保健体育担当の
瀬川先生が、ご家庭の都合で
休まれることになった。

そこでだ、俺がしばらく、
お前らの授業を担当します。」



な、なんだとぉおおあお!

先生が、
私の授業をた、担当ぢゃと?


発狂しそうになるのを堪えて、
必死で先生の顔を
かじりつく様に見つめる。

それに気付き先生は微笑む。

そして、また口を開く

「本来俺は男子の授業担当
だったんだが、男子は
蒲田先生わかるな。
あの人が受け持つらしい。」


もともと男子担当は
高岡先生なのに、とも思ったが

この時は然程
不自然にも思わなかった。


その日の放課後
高岡先生に、居残りを
命じられた私は
体育教官室へ向かった、

ーコンコンー

ノックすると
中からは先生がでて来た

「おう、佐藤、来たか!
呼び出したはイイけど、
雑用もなにも無いんだよな
あいにく!」

てことは。わたしは
様なしかな?

「ぢゃあ、帰りましょうか?」


「いや、いい。
入りなさい。お茶いれてやる」



先生と教官室で二人きり

ほかの先生は帰ったようだった。


「先生これから、女子の

担当やるんですね」

わたしは渡されたお茶を一口飲んで
言った。

「ぁあ、そうなんだよ。
だから佐藤のことみっちり
しごいてやるな。」

はにかむ先生。


「先生にしごかれるなら
いいかな、、、。」

「えっ?」

先生は酷く驚いている。

や、やばい、私、
つい思ったことを口に。


「と。女子は思うと思う!!
先生はかっこいいから、女子の
虜だよ?皆先生にしごかれたら
喜ぶんじゃないかな!」


必死に誤魔化す。

「佐藤は?」

「へっ?」

急な質問に
アホみたいな返答をしてしまう。

「佐藤は皆みたいに
俺にしごかれたら嬉しいわけ?
それとも、皆とは違う?」

先生は真っ直ぐに
私をみて言った。

言葉が見当たらなかった。

本当は嬉しいけど、

気持ちがばれたくなくて。

「そうかもしれない」

意味深な返事をした。


なんだか、泣きそうになった

溢れ出す気持ちに
必死に蓋をして
耐える私に

気付いているのか

泣きそうな私を
ぎゅって、抱きしめてくれたんだ

先生の胸の中は
あったかくて広かった。