近くにあったベンチに座って、自販機で買ったお茶をセンパイに渡す。



隣に座って、俺も自分のお茶を飲む。



暫く無言が続いた。



……怒らせちゃったかなぁ。





「ねぇ、真人」





遠慮がちなセンパイの声に「なんですか?」と努めて優しく言う。





「このこと、誰にも言わないでね」





少し顔を赤くしながら上目がちにそう言う。



このことって、お化け屋敷が怖いこと?



俺に姫抱きされたこと?



心当たりがありすぎて、どれを指してるかは分からなかった。



でも、別にそんなこと言いふらしたりしない。



あんな可愛いセンパイを知ってるのは俺だけでいい。





「別に、言いませんよ。誰だって苦手なことくらいありますから」



「………ありがと」





ふわりと笑うセンパイに、目を奪われる。



そしてまた続く沈黙。