「あ、すいません。」




「い、いえ…。」




ふと時計を見ると17時30分になろうとしていた。




やばい!
早く帰らないと!




「じゃあ、私はこれで。」




一礼してその場を去ろうとしたとき




「一つ聞いていいですか?」




「え?」




「木原茉央さん?」




な、なんで私の名前を知ってるの!?




「木原茉央さんだよね?」




「何で私の名前を知っているのですか?」




おどおどする私の姿を見てニヤッとする彼。




「内緒。どうせまた後で会えるしね。」



「え?」



何この人。
…怖い。




「ごめんね、急いでいたのに呼び止めて。
じゃあ、また後でね、茉央ちゃん。」




そう言って彼は人の渦の中に消えって行った。




私はそれを呆然と見る事しかできなかった。