桃色の初恋〈上〉




弱虫な自分


今、涙が止まらない。


愁のことを忘れることなんて、


できない。




「紗季。何で勝手に帰っちゃうの??」

『ごめん...』

「...言ったんだね。」

『う、うん。でもね、言えなかった。」

「何を?」

『別れた理由がそれだって。愁、結婚するし、私がやってることは間違ってる』

「間違ってなんかないよ」

『ううん。結婚する人にそんなこと言っちゃいけない』

「そうかな?」

『だって、過去は過去でしょ。愁に必要なのは、今は私じゃなくて___』

「愛子さんだって言いたいの?」

『...』

「それも違うよ。愁だって紗季のこと忘れてないんじゃないかな?」

『忘れてるから、結婚するんだよ。忘れられないのは私だけだから。』

「そっか。夢はいつでも紗季の味方だからね。」

『ありがとう』




そう言って、私は夢の前で泣き続けた。


そんな私を寒い冬の夜の風が


包みこんでいた。