「ナオー」

気持ちよく寝ている土曜日の朝、家中に響くお母さんの声。

「んん…なーにー」

いまだに眠りの中にいる頭を頑張って起こしながら、今何時だろうと、携帯のディスプレイを見る。

げ、まだ六時じゃん。起こすの早すぎ。

そんなことを思っているの「ナオー聞いてるの?」と、また声が響き、「んー!!」と返す。

「お婆ちゃんとこ行ってくるから、今日は向こうに泊まって、明日帰ってくるから」

「んー」

「それじゃあ行って来ます」

声のすぐ後にドアが開き、すぐにバタンと閉まる。

その音と一緒にあたしの意識も眠りの中へと遠退いていった。