佐紀夢河が壇上に上がり、挨拶を始めた。
………すげぇな。
ここは進学校ってやつだ。
俺は勉強と運動だけはできていて、家を出る良い理由にもなるからここを受けた。
中学校では、常にトップの成績だった俺。
上には上がいるってことか?
まあ、佐紀夢河が1位だったおかげで俺が挨拶しなくてすんだから、ラッキーってことで。
つーか。
佐紀夢河すげぇな。
いかにも頭が良い奴。
ふと周りを見ると、男も女も佐紀夢河に視線が釘付けだ。
女はきっと、あんなに美人なやつがなんかすげぇこと言ってるから、素直に凄いと思ってるか…もしくは妬むかだな。
でも、妬ましい視線を送る奴は……見当たらねぇな。
オーラか?
佐紀夢河には、人を惹き付けるオーラがある。
だからなのか?
男は……。
デレデレしやがって。
あいつは俺のだっつの。
