「……やっほ、皆」



主役の哲が来た

尚輝が哲に抱きついて泣き崩れる



「哲ぃ〜!さみしくなる〜〜」

「…まあ、俺も…さみしくなるけど、……うわ、鼻水つけんな!」



尚輝を剥がそうとする哲は眉を下げ、悲しそうに笑った



たわいもない会話で時間をどんどん消費する


いつも当たり前だったこの時間が、あと少しなんて…





「ところで、朔月、話は?」

『……』


ボンヤリと話を聞きながら、噛み締めていたら哲はこっそりオレに耳打ちしてきた


話、か



『皆に聞いて欲しいとは言った』


けど…タイミングがなぁ…

楽しい話じゃないだけにタイミングが掴み難い


話して、離れていく奴等ではないことは頭では分かっている

が、心は拒絶されることを臆している




そんな気持ちを知ってか知らずか哲は優しく笑うと自信満々に言った


「俺がついてるんだから、平気さ!任せなさいっ」



言った後、立ち上がった哲



「なあ、皆。朔月の話、聞こうぜ☆」


『……』



そして一気に集まる視線

俯きたくなるのを押さえ、オレは哲に目を向けた


目が合うと、さあ、どうぞ?と笑う哲が憎たらしい



タイミングをくれたのは嬉しいが無理矢理すぎだろう、と