父さんの期待を裏切るなんて無理で

パリにも興味あるし、俺のためにもなる




けど、アイツの…大好きな親友の顔が俺を縛りつけるんだ

自然と涙が溢れた


父さんが整理しろと言ったのは、荷物と…心だろ?



無理だ

無理なんだよ!



俺の中の朔月の存在はでかすぎるんだ


しかも、月牙という友達もできちゃったし



「……アハハ、尚輝泣くかなぁ…」



とっくに泣いている俺は尚輝の泣き顔を想像して笑うんだ


嫌だな、離れたくないな


彼等と、朔月と




「な、んで…!何で今なんだ!」



叫んでも変わらないけど叫ばずにいられない

涙を流し続けた俺は力つきるまで、泣いた








『……っ!ごめん!気づかなくて、悩んでいる哲に気づいてやれなくてごめんっ……!!』




ボロボロ涙を流す俺を抱き締めた朔月は切ない、絞り出すような声を出した


何で君が謝るんだ

優しすぎるだろ



俺が隠してたんだぜ?


何でっ、



「朔月は優しいんだ!」

『!』

「離れたくなくなるだろ!さ、朔月!」



抱き締め返すと朔月も小さく震えていることに気づく

顔を見ると、涙は流してないものの、揺れる瞳は潤っていた



「なっ泣くな!」

『泣いてない!』