まるで子供をあやすような朔月の手つきに俺はまた笑顔になるんだ


大好きなんだ、朔月の事が




「ありがとう」

『哲の髪、相変わらず軟らかいな』

「そうかな?」

『うん』




俺の髪が乾いたころ、交代、と言ってドライヤーを取り、朔月の髪を乾かした

お前のが柔らかいじゃん

ありがとう、と言って笑う朔月




フワリと香る朔月の香りが懐かしく、悲しい





「………さ、つき」


ドライヤーを置いて黙り込んだ俺に朔月はゆっくり振り向いた




やっぱり、無理だ…!!


嫌だ嫌だ嫌だ!!!




『哲。大丈夫。話して、みて?』



優しく俺の頭を撫でる朔月はまた優しい目で俺を見るんだ

そんな姿に、また涙が込み上げてしまうじゃないか





「……離れたくないっ…!」



本音が口から漏れ、朔月は顔を歪ませた

ああ、不安にさせちゃったかな


言わなきゃ


説明しなきゃ、伝わらない



「……聞いて、朔月」

『…うん』



ソファに向かい合い、俺は朔月の目を見てから伏せ、話し始めた