そう言えば、哲は仲良くなるのが上手いな

執事はそんなに簡単になつかない


警戒心旺盛な柴犬みたいな奴だ



それを、あんなにも仲良くしてしまうのは哲だからだろうな


と、そんなことを考えながら着替えバスルームを出ると執事がテーブルに紅茶と茶菓子を並べていた




「朔月も紅茶にしたぞ?」

『ん、サンキュ』



出された紅茶の前、椅子に座ると隣に哲も座った



「で?急に来てどうした?」

「いーだろー?仲良くお泊まり会したって!」

「いや、そーじゃなくて……はぁ。ま、いいや。折り畳みベッド持ってくる」



紅茶を乗せてきたお盆をかかえ部屋を出る執事を見送ると哲に目を向けた


小さめの服は哲にピッタリで笑えた



「…あのさ」

『なに』



目が会うと気まずそうに笑いながら哲が言う


「夜、話して、いいか?」

『勿論』



夜なら執事に邪魔されないしな


オレの返事にクシャリと笑った哲は茶菓子に手を伸ばした



何にも悩みがないような明るい哲

だけど、多かれ少なかれ、悩みがない人なんかいないんだ




無理して笑っていたような夏祭りの姿はオレには辛かった

花火の光に垣間見た哲の涙は悲しかった




オレの事に親身になって想ってくれた哲に



オレは何ができるのだろう………