俺は何なのか

何だったんだ



全てが分からなく、全てがどうでも良くなった




食わず飲まずの日が続き、今死んだ方が良い、と思いだしたんだ

けど、そんな俺に毎日会いに来てくれる人がいた




「朔月は、毎日来てくれた、ね。俺の病室に」


嬉しくもあり、また憎らしくもあった

同情なんて要らない

けど、一人は嫌だ




「俺は、昔から我が儘だったから…」




生きてる価値が自分にはない

けど、生かされる



死にたいけど、死にたくない







気づいたら、俺は朔月にナイフを向けていた

……自分の存在を主張するかのように…




「真っ黒な心の闇が止めどなく溢れて…それにされるがままに朔月を……傷付けた。心の隅では嫌で泣いていたけど、あまりにも俺の中の闇は大きく育っていた…」



朔月が苦痛に歪んだ顔は今でも脳裏に焼き付いて離れない

壊れた俺は、ただ、朔月に甘えていた




「ゆ、許してくれなんて言わないよ。けど、知っていてほしい。………俺は憎らしくもあった朔月が愛しくて仕方なかったって事を」

『……え』



朔月が同情なんかで会いに来る奴じゃないって事に気がついたのは海外で

心の闇に勝ったのも、病が治ったのも海外



全てが遅すぎた