「俺は絶望したね。人生の終わりを聞いたんだ」



そして、絶望の次に押し寄せた感情……



「そんな時に、朔月が来た。俺が倒れてすぐの事だったから、本当、驚いた」


また顔を歪める朔月

しかし、俺から目を離さずしっかり聞いてくれている
…そんな朔月が眩しくてしかたない


「朔月は…完璧だったね。俺より優秀で……………だから、嫉妬したんだ」



絶望の次に、敗北

……嫉妬の感情が俺を支配した



「朔月は俺の身代わりなんかじゃなく、“俺”になるんだな、って思った。…俺より勝っていたから」



許せなかった

俺が頑張って頑張って努力して、走ったり、ゲームしたいのを我慢した俺を簡単に越した朔月を

俺の立場を奪った朔月を……





『………オ…私は、簡単に越せませんでしたよ、貴方を』



今まで黙っていた朔月がふと口を開いた


『今でも越せれていません。…し、これからも越せません。…ただ、必死に追い掛けただけです』



苦痛に歪んだ朔月の顔を見てられなくなって目を剃らした


朔月の瞳は俺の幼稚さを目立たせる




「朔月が俺より優秀だったのは、事実。……おかしくなったのは、父さんの言葉からだ」



「お前はこれから病院では朔月と名乗れ。見舞いにくる奴等にだ……これからだね。俺は自分が見えなくなった」