『誰?これ』

「朔月」



手鏡に写ったのは、女


『女……』


てか、女装した葉月に見えないこともない
笑える(笑)




「女だなー。ドレス楽しみ♪ちょっと抱き締めていいか?」

『は?良いわけないだろ』




スッと回された腕をスルリ避け、時計を見る


『あ、時間だ』

「チェー。時間っすねー」

『何だその態度は。行くぞ』

「はいはい。あ、俺っつーなよ?」

『分かってる』



オレ達は部屋を出た

屋敷の者がオレ達をチラチラ見てきた



『……あれ、今葉月じゃないのに…』

「朔月様が美人だからですよ。あと、もう少し早く歩いて頂けますか?」

『うん』



美人じゃねーし

つか、執事が歩くの速いんだよ…









「遅かったな」

「申し訳ございません。身支度に時間がかかってしまいました」

「ああ、」




父と執事が話すのをそっ見守っていたら目があった


「……朔月、後で私の部屋に来なさい」

『はい』



まあ、それだけしか話してないんだけど





「葉月様、お帰りです!」







―――………ギィー…







重く、大きい扉が開き、立っているのは、

オレと似た顔立ちの兄、葉月だ……



あの頃の白く細い身体つきはなく、ほんのり焼けた小麦色にほどよい筋肉が身体を覆っていた

背も、伸びたみたいだ

オレより5cmは高いだろう





「………ただいま」

『おかえりなさいませ』




静かな微笑みを浮かべる葉月が、帰ってきた