『慎二のお陰で助かりました。どうもありがとう』


ペコッと頭を下げる


店員に聞こえない程度の会話をすることにした




「いえいえ、俺も楽しかったよ」

『慎二は紳士だからー』

「違うよ。俺が個人的に着て欲しいのとか入れちゃったし。楽しかった」



フフ、と黒わらいのつもりだろうが後ろの花がオレには見える

紳士な花が咲き誇っている



『…じゃ、今度会うときに着てくな』

「うん、楽しみだな」





少し赤らめた頬を見てさらに顔を赤くする店員をオレは見逃さない


慎二高校一年のくせにおねーさんタブらかしちゃ駄目じゃん




「あの…」



ふと、服を畳む手を止めずに話しかけてきた店員





そして、……


「…彼女さんに、ですか?」

「『え?』」







二人で顔を見合わせて

はい、そうです。


と、笑ったのは言うまでもない













『じゃ、またな。慎二』

「うん、またね」



私服のセンスが完璧な慎二と別れ


オレの両手を塞ぐ大量の服の重みを噛み締めて、家へと足を進めた