他の扉よりゴツい、濃茶色の扉をノックする


『朔月です。今帰りました』

「入れ」



相変わらずの態度を確認後、中に入る


『用があるんですか?』

「用はない。明後日葉月が帰ってくる。心得ておけ。それだけだ、下がれ」



驚く暇さえ与えない淡々とした口調

オレは最後の言葉だけに直ぐ反応し、一礼して部屋を出た







「どうした?朔月」

『……いや、なんだかな』

「話、何だって?」

『葉月が帰ってくるんだと』

「え……」



部屋に戻り、
何故かオレの部屋に居ると口調が変わる執事を横目に眉をよせた


葉月、と言うのはオレの兄だ


血は繋がっていない。父の実の子だ。





……

実の子、だと言ってもわかりにくいか





―――…そうだな

そろそろ、オレの成り立ちを教えてあげようかな


夏休みも始まったばっかりだし、オレの話しにゆっくり付き合ってもらおうか



と、言ってもできるだけ簡単に言おう