「おかえりなさいませ、朔月様」

『ああ』

「旦那様が御部屋に来るように申しておりました」

『…分かった』



家の中、

オレ専用の執事みたいな奴がオレの鞄を受け取りながらそう告げた

25歳くらいの若く、顔が素晴らしく整った奴だ





父の呼び出しに嫌な予感しかかんじない

オレは制服からスーツに着替え、父の部屋に向かった


静かな屋敷にオレの足音だけが響く



……あ、そうそう

スーツと言ってもネクタイもしてなければジャケットも着てないラフな格好だ
第1ボタン外してるし


ただ、この家でジャージやスウェットで彷徨くなんて許されない



客や敵、色々な人が出入りするこの屋敷には自分の部屋以外に気を抜ける所はない

なんとも息がつまる家だろうか




すれ違う人がオレに挨拶をしていく

体よく交わし、そして立ち止まるのは父の部屋の扉の前