直ぐにオレを受け入れたこの心の広さは凄い
そばにいると落ち着くこの安心感も好きだな、と思った
だから、単に……オレは先輩と友達になりたいと思ったんだ
『先輩にとってオレは恋敵ですね?』
ケラケラと笑えば一瞬キョトンとしたが
「黒崎は、里江を友達として大切にしようとしている事は直ぐに分かった。…だから、恋敵というより共に守ろうか」
と笑ったのだった
イケメン差倍増
やべーやべー、オレ負けちゃうよ
『…先輩こそオレを奢りすぎですよ?オレが里江先輩を襲ったらどーするんですか?』
「フッ大丈夫だ。最初こそ警戒したが、一度戦えば相手の気持ちは見えてくるもの。お前がそんな不埒な者じゃないくらい分かる。信じてるぞ?黒崎」
トンっと背中を押され顔を赤くしながらオレは俯いた
嬉しい言葉
オレの中身を見て気に入ってくれた、
こんなに嬉しい事はない
「おっと、結果が出たな。ま、分かりきったことだけどな」
先輩がオレから視線を外し前を見渡すので
それにつられてオレもふと前を見ると半分以上の人が青の旗にいた
「はい、集計が終わりました!勝者は一年の黒崎君です!」
わー、キャー騒がれる中
オレは大和先輩の視線に気づき目を向けた
「俺の分まで頑張ってくれよ?」
出された手を握る
大和先輩と二度目の握手をかわし、オレは大和先輩に誓うのだ
“絶対”なんてこの世にありはしないと思ったが
今日くらいあると信じて良いだろう
と言うより、オレの中には“絶対”があるとする
『任せてください、大和先輩。絶対、優勝します』
ギュッと握る先輩の手の温もりは忘れる事はないだろう
オレの励みになることも、間違いないだろう……