砂浜に真琴が来たのは夢で病院に居るのが現実だった。






ICUの入り口まで行くと、桐谷が椅子に座って俯いていた。





「桐谷…来てたのか?」


その声に顔を上げた桐谷の目は真っ赤だった。


「健くん!!目を覚ましたんだね…で、電話もらって…慌てて東京からあたしとおばさんで飛んで来たの…」


「あ、あいつは…?真琴は?」

声が震えて仕方ない。


桐谷は首を横に振った。



「まだ意識が戻らないの…。先生が…もしかしたら…もしかしたら…いやぁあー」


そういうと、桐谷が床に膝をついて泣き出した。



「桐谷なんだよ?なんだっていうんだよ!!」


「じ、事故から…事故から四日も経ったんだよ!?それなのに、まだ真琴の意識が戻らないの…先生が…先生がね…先生が…言うにはもう意識が戻ることはないかも知れないって…」





意識が戻らない…?



そんな馬鹿なことあるのか…?





「脳死だって…」



桐谷が小さく小さく呟いた。







その瞬間、





悲しみという絶望に立たされたー