ホテルの部屋に戻ると、健はベッドに仰向けに倒れこんだ。
目を閉じる健。
やっぱり、身体に負担かけてるよね?
「健…薬飲まないと」
化粧台下の冷蔵庫から、ミネラルウォーターを取り出した。
「んー。分かってる」
健は起き上がって、バックから薬を取り出した。
薬を飲む姿は出来れば見たくない。
ホテルのバルコニーに出て、夜の海を眺めた。
潮の香りがする。
「先にシャワー使えよ」
その声に振り向くと、健が後ろに立っていた。
「う、うん…」
考えちゃいけないと思っていても、ドキドキしてしまう。
健の心臓に負担がかかるから、そういうことは無いと分かってる。
でもそれは私が思ってるだけで、健の気持ちは分からない。
なんだか妙に恥ずかしくなってしまい、健の顔を見れずに、シャワールームに入っていった。