エレベーターに乗り混むと、真琴が俺の背中を叩いた。
「なんだよ。これもサプライズだぜ?」
「もう!健のバカ」
そう言いながら、やっぱり真琴は嬉しそうだった。
部屋に着き、ドアを開くと、窓の向こうは沖縄の海が広がっていた。
「すごーい!綺麗!」
真琴のテンションが上がる。
ホテルは仕事ということもあって、ビジネスホテルではあるが、さすが沖縄らしいリゾート風の部屋だった。
しかし、自分で予約したし分かってはいたが、二つ並んでいるベッドを見ると妙にソワソワしてしまう。
そんな俺の様子に気付いたのか、真琴も少しソワソワし始めた。
「あれだね、なんていうか、なんか…」
真琴がベッドに腰掛けた。
そんな真琴の隣に座ると、妙な緊張感にさいなまれ、妙な空気になって、2人とも黙り込んだ。
ーピピピッ!
すると、真琴の携帯電話が鳴って我にかえった。
「あ、はい。今着きました。はい。今から、向かいます」
どうやら、会社の人らしい。
真琴は電話を切ると、
「じゃあ、あたし行かないと…健はどうする?」
「もう少し休んどくよ。移動で少し疲れたから」
「分かった。ゆっくり休んでて。なんかあったら、連絡してね」
「おう。さんきゅ」
真琴は部屋を出て、会社へ向かった。
一人になった俺は、ベッドに倒れこんだ。
少し、身体に負担かけちまったかな?
鉛の様に重くなった身体を休ませることにした。
心はこんなに弾んでいても、身体がゆうことをきかない。
心と身体の大きな差が胸を締め付けていた。

